平成30年から始まる積立NISAについて勉強しました。

みなさん。こんにちは。now3のアドレスでブログを更新している大東市の税理士・社労士の今西 学です。

本日、平成29年税制改正の税理士会の研修を受けてきました。その研修の中でも触れられた、積立NISAの制度について、今回のブログではお伝えしたいと思います。

現行のNISAの口座開設数が、1000万口座あるのに、稼働してない口座が半分以上あるそうです。政府は、貯金から投資へとお金の流れをもう少しシフトさせたいと考えていることから、現行のNISAに加えて、長期的な分散投資により安定して収益をあげられ、かつ小口から積立てることの出来る積立NISAの制度を創設するようです。

1.積立NISAの概要

(1)口座開設可能期間・非課税期間

現行のNISAの口座開設可能期間は、平成26年~10年間(平成35年まで)となっており、非課税口座に預けられる期間は、5年(ロールオーバーした場合は10年)となっています。

一方積立NISAは、スタートは、平成30年(来年)からはじまり、その後20年(平成が続けば平成49年まで)毎年口座開設ができます。

また積立NISAの非課税口座に預入できる期間は、20年なので、平成30年に購入した投資商品は、その後、20年非課税口座にそのまま預けておくことが出来ます。

よって仮に来年40歳の人が積立NISAを始めたら、来年購入した投資商品は、60歳まで非課税口座に預けておくことができ、最後に購入出来るのは60歳のときで、その購入分が非課税口座での保管が終了するのは20年後の80歳のときとなります。

(2)限度額について

現行のNISAは、年間の投資上限額は、120万円までですが、積立NISAの年間の投資上限額は、40万円となっています。

(3)投資対象商品について

現行のNISAは、上場株式・REIT・公募株式投資信託等となっており、個別株式に投資しても、投資信託に投資してもいい仕組みになっています。一方、積立NISAは、投資対象は一定の公募株式投資信託等だけになっています。

つまり、積立NISAで投資対象に出来るのは、投資信託だけで、個別株式を積み立てていくことは出来ないばかりか、その投資信託についても金融庁が定める一定の条件を満たしたものに限定されることになります。(後ほど、もう少し説明します。)

(4)投資方法

現行のNISAは、投資方法にも制限がなく、1年のうち、120万円分をどの時期に、どう投資するかは自由ですが、積立NISAは、定額かつ継続的な方法(いわゆる積立)で投資する必要があります。

(5)注意点

現行のNISAと投資NISAは、平成30年~平成35年まで、制度として併存しますが、一年においてその両方の枠を使うことが出来ません。よって、どちらの制度を1年ごとに選択する必要があります。

平成30年は積立NISAの非課税口座を使い、平成31年は、現行の通常のNISAの非課税口座を使うということは出来ますが、同一年で両方の非課税口座を使うことは出来ません。

2.投資対象商品について

金融庁が定める一定の条件を満たした投資信託とはどのようなものなのでしょうか?週刊エコノミスト2017年5月30日号によると、「販売手数料無料」「信託報酬(管理手数料)が一定割合以下」などの条件がつけられているそうです。よって、2016年11月末現在、公募(誰でもが購入出来る)投資信託は、5406本あるそうですが、対象となるのは50本程度に絞り込まれるようです。

信託報酬が一定割合以下いうことは、投資信託の運用を任された運用者に対して、企業調査をした費用を含めて、成果報酬を支払うことが出来にくいということです。

よって、優秀なファンドマネージャーが有望な企業を見つけ出し、それらに集中的に投資し、市場平均を超えるリターンを狙うアクティブ投資信託は対象から外れやすくなります。

実際に積立NISAの対象となりそうな50本の投信のほとんどは、日本の株式や米国の株式、新興国の株式などのそれぞれの地域の全体の株式指数に機械的に連動するものか、あるいは世界の株式全体の指数に機械的に連動するインデクス投資信託がほとんどになるそうです。

なお、アクティブ投信も一部は含まれるそうで、「ひふみ投信」「さわかみファンド」「ニッセイ日本株ファンド」「結い2101」「セゾン資産形成の達人ファンド」が最終候補にあがっているようです。(まだ上記商品は最終決定されたものではないようなので、念のため)

3.まとめ

(1)個人型401Kとどちらを優先させるか?

以上、積立NISAについて見てきました。第一印象は、個人型401K(iDeCo(イデコ))と似ているし、節税効果を考えると個人型401Kの方がいいのではという気がします。

特に自営業などの国民年金加入者は、401Kで年間81.6万円まで投資信託に投資が出来るので、そちらを優先して使うべきかなと思います。もちろん、401Kは手数料がかかりますが、以前のブログ記事で述べたように、SBI証券で401Kの口座を開設すれば、かなり手数料を抑えることが出来ますし、401Kなら運用リスクはあるものの、安定運用すれば、手数料を上回る節税効果を得られると思います。(最近では樂天証券も手数料が安いです。)

一方、会社員などの厚生年金加入者は、個人型401Kの枠が月23,000円、年間27.6万円と国民年金加入者ほどは投資できないので、まず個人型401Kの枠を使い、さらにもう少し積み立てたい方は、積立NISAを使うことも考えていいと思います。(制度趣旨は似ている気もしますが、個人型401Kと積立NISAは、同じ年で併用出来ます。)

また、一定の財産をもっており、年間の給与収入103万円以内の方(専業主婦といわれている人やそれに近い人)は、所得税がそもそも「0」なので、個人型401Kを使っても節税効果をえられることが出来ません。よって個人型401Kより積立NISAを使う方が合理的かもしれません。

(2)積立NISAの投資商品について

先述したとおり、積立NISAの商品はインデックスファンドが中心ということ。個人的には、米国株式や新興株式は今後も右肩上がりで上昇していくでしょうが、日本の株式全体がすごく上昇していくのは難しい気がしています。

よって、インデックスファンドを買うなら、日本株式のインデックスファンドより、米国や世界全体のインデックスファンドを購入した方が、いいのではと個人的には考えます。

日本経済全体を考えると、今後大きく成長するのは難しいと考えられるので、日本株式全体が大きく値上がりしている可能性は高くないという気がします。

ただそんな中でも、発展していく企業はまだまだあるでしょう。第2のユニクロや無印良品などの世界的な成長企業はまだまだ出てくると思います。

よってもし日本株を投資対象とする投資信託に投資するなら、成長企業に目利きのうえ投資し、株式の値上がり益を狙うアクティブ投信をあえて選ぶのがいいのではと思います。私なら、今のところ運用成績もまずまずの「ひふみ投信」あたりがお勧めかなという気がします。

以上、積立NISAについて全体的には厳しく書いてしまったかもしれないですが、投資手段の一つが増えることは悪いことではありません。一人一人に合った積立NISAの活用をご検討ください。

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今西 学

今西 学

大阪の大東市(最寄駅:JR学研都市線の住道駅)で税理士事務所を開業中。(ホームページはこちら) このブログでは、税金・年金・お金の運用など日々の業務で気づいたことや、幼少の頃身体が弱かったことから常に健康で生きていきたいという思いで日々取りくんでいること等を記事にしています。 詳しくはこちら