みなさん。こんにちは。now3のアドレスでブログを更新している大東市の税理士・社労士の今西 学です。
先日、NHKのクローズアップ現代という番組で「50代でも遅くない!中年転職最前線」という番組で年齢を重ねてからの転職活動を特集していました。
50代ではなかったですが、私も30代半ばで未経験で会計事務所への転職活動を行い、苦労しましたので、そのときのことを今日は書いてみたいと思います。
1.30代半ば未経験での会計事務所への就職活動
私が、地方公務員の職を辞したのが、34歳でした。そこから約1年間、受験勉強に専念し、受験が終わって36歳の誕生日まであと一ヶ月余りのぎりぎり35歳の時に会計事務所への就職活動を行いました。
平成14年ごろの事ですから、今から約15年前です。当時は、景気もそれほどよくなかったですし、社会全体としても今のような人手不足と言われる時代でもありませんでした。
また今はピークより約4割減少した税理士試験受験者数も当時はピークの時で、税理士を目指す受験生も今よりずっと多かった時代です。
一つの税理士事務所の職員募集が出ると、それがたとえ小さな事務所でも就職希望者が殺到している時代でした。
(ハローワークで仕事を探していたときに、ある事務所の求人に申し込むと一人の募集に対して「約20人目の紹介者」です。と言われたことがあります。それを聞いた途端、条件の良くなかった私は厳しいなと思ったものです。)
また今現在はわからないですが、本音は女性を求める会計事務所も多かった気がします。募集案内には性別による差別をしてはいけない観点から女性限定とは書いていません。ただ採用に際しては事実上女性を優先する事務所も多く、男性だというだけで書類であっさりと不採用決定ということもあった気がします。
当時の私は、年齢が未経験で30代である不利な条件を自覚していましたので、給料等の待遇にかかわらず可能性のあるところにはどんどん応募しました。
自分なりにこれまでしっかりと働いて生きてきたつもりだし、給料等の待遇にこだわらなければなんとか私のことを気に入ってくれる事務所もあるのではないか?採用してもらえたらそこで精一杯頑張ろうと思っていました。
しかし、現実は甘くありませんでした。履歴書を何枚書いても書類選考で落とされてしまいます。不採用を告げる「慎重に選考させていただきましたが」という通知文とは裏腹に、私が履歴書を投函して3日ほどで不採用通知がくることも度々ありました。
おそらく20通ぐらいは書類を出したでしょう。面接にもほとんど進めず、書類で不採用が決定されてしまいました。実際にお会いして自分のやる気・人柄を見て欲しいと思っても、その機会さえほとんど与えられませんでした。
不採用が続く状況に、自分の心もめげてきました。今から考えると、たかが就職活動とも思えます。ただ当時は、自分の存在が否定され、社会からオマエはこの世に不要なんだと言われている気がして、かなりへこみました。
このまま、何枚履歴書を書いたら採用されるのかな?受験勉強を続けても税理士になれるのかな?と将来が見えなくなってしまったこともあります。(以前のブログで記載しましたが会計事務所には実務経験が2年必要です。)
今は、選考する側の事務所の所長が、入所希望者が殺到している状況で、30代半ばで未経験の男性をわざわざ採用しようとは思わないのも理解出来ます。が当時は何故面接のチャンスも与えないのかと悔しく残念に思っていました。
2.初めての正社員としての会計事務所勤務と転職
最終的には、2ヶ月ぐらい就職活動をした後、ある会計事務所に就職が決まりました。所長と面接することが出来、未経験ながらも自分の社会経験も評価していただき、気にいってもらえたように見えました。
しかし、残念ながら実際は私にとっては働く環境が合わない事務所でした。毎週土日が休みと求人票に書いていたのに、毎土曜日は全日勤務、夜も手持ちの仕事がなくても所長が帰宅する21時~22時まで先に帰ることは許されません。
受験勉強もまったく出来なくなってしまうこと、さらにずっと怒鳴り続けられたことから、せっかく就職できた事務所でしたが約二ヶ月後に退職しました。ただ退職の意思を口頭で伝えても、所長は「認めない」の一点張りでした。
結果的に、あらかじめ退職日と伝えていた約一ヶ月後に、無理矢理退職する形でその事務所を去りました。所長と話し合える状況でなく、最後の10日分の給料はもらえずでした。
その後、ある場で偶然知り合った所長先生にアルバイトで採用していただき、その事務所で仕事を少しずつ身につけました。そして、会計事務所経験者というキャリアをつけてから、再度正社員の就職活動を開始しました。
なんとか就職出来たのですが、キャリアのない私を採用してくれるような事務所は、結果的に人の回転が速い事務所が多かったです。よって、肉体的・精神的にもきつく、退職せざるをえず、1年~1年半で転職を二度繰り返しました。
3.最後の会計事務所に入る前の転職活動でうけた嫌な思い出
二つの正社員を経験した後の、結果的に二年半のキャリアを積むことになる最後の会計事務所に入る前の転職活動のときでした。
その転職活動では、今でも忘れられない悔しい面接がありました。やむにやまれず以前の会計事務所を退職したのに、面接の際、執拗に退職理由を聞かれることがありました。
あまり前の事務所の批判をするのも何なので、仕事が忙しすぎて勉強出来なかった等のことを言っていました。それでも納得してもらえず、執拗に聞いてきて、ある程度以前勤めていた事務所の状況をオブラートに包んで話しました。
相手方はその話を聞き終わると、「こらえ性のない奴」「我慢できない人間」と一方的に決めつけ、結果的に不採用となった面接がありました。
不採用なら不採用でいいのですが、必死で生きている人間に、その所長先生の常識で、転職を繰り返すことに対し、安易にレッテルを貼られたことには、納得出来ないものがありました。
「エリートで順調に生きているその先生が、もし私が経験してきた職場に入ったら、笑顔でいきいきと働けるのか?」「怒鳴られ続けたり、いじめられたり、ほとんど仕事させてくれない事務所であっても、入ったら3年以上そこに居続けることが本当に正義なのか?」と突っ込みたかったです。
精神的にも肉体的にもボロボロになる前に退職し、職場環境を変えるという選択をしたことに後悔は今もありません。それなのに世の中にいろいろな職場があるのを想像出来ずに、辞める方が悪い、人間が出来ていないとその先生の常識で決めつけられるのは、どうしても納得できませんでした。(今でもです。)
4.就職活動での評価が悪くても気にしすぎないように!
冒頭に述べた番組では、50歳前でIT企業をリストラされた男性が、就職活動に苦労した末に、IT能力だけではなく、変化する視点、違った視点をもつ人材と評価され会社に就職し、その会社で活躍している状況が描かれていました。
それぞれの人間が培ってきたキャリアから得られた共通する人間的な能力(忍耐力、突破力等)をふまえて、就職活動すれば道は開かれるのでは?という趣旨のことを番組では述べていました。
就職した人がそういうキャリアによって培ってきた人間力のアピールを上手く出来、また採用する企業側もそういった能力を見て採用するのはいいことだと思います。
私も、今になって言えるのですが、就職とは相性であり、ある特定の役割を求める人材と応募した人間とのマッチングだと思います。数多く落とされたからと言って、人間として駄目な訳ではありません。
人格を否定されるようなことも年齢がある程度いってからの就職活動ではあるのでしょうが、それでも採用側はその人の一面しか見ていないだけで、自分を卑下することはないのだと思います。
ただ、就職活動しているときは、そう思えなくなってしまうこともあると思います。私もそうでした。その当時は、将来が見えず非常につらかっものです。
でも、その出来事を強引にプラスに解釈するとすれば、私の場合、そういった経験をふまえ、独立開業して生きていく自分の心の準備をすることが出来たのかなと思っています。
まわりの多数の偉い人に何を言われようと、自分を信じて、自分の道を生きていくことが、独立して生きていくには、必要だと思うのです。
就職活動で、相手にされなかったり、”駄目な人”というレッテルを貼られながらも、自分を信じることをギリギリで忘れないで、乗りきれたことで、結果的に独立して生きていく心構えが身につけられたと思います。
今は 人手不足の時代ということで、会計事務所への就職も以前よりは難しくなくなっているようです。でももし私に近い状況の人がいたら、自分を信じてあきれめずに独立まで駆け抜けて欲しいと思います。
今西 学
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