みなさん。こんにちは。now3のアドレスでブログを更新している大東市の税理士・社労士の今西 学です。
前回の記事では税理士事務所が保険代理店を兼ねている場合が多い現状をお伝えしました。今回は私がどうして保険代理店になり、そしてなぜ保険代理店の看板を下ろしたのかをお話したいと思います。
1.保険代理店になったきっかけ
私自身は、開業当初は、保険の販売を積極的に行い、事務所の利益にしていこうと考えたわけではなく、むしろ保険の販売をすることに対しては後ろ向きな考え方でした。
しかし、ある保険会社の営業マンの説得をうけて保険代理店になりました。その説得の仕方が、(税理士は税理士会に加入義務があり、その税理士会は地域毎に支部に分かれているのですが)「支部の役員である支部長も保険販売に取り組まれることを喜ばれますよ」という一言でした。嫌われるよりは、好かれる方が、活動しやすく、支部からの仕事ももらえるかもという淡い期待感でした。そして、簡単な試験をうけ、保険代理店となりました。
2.保険代理店になって考えたこと
7年間、保険代理店となっていましたが、結局1件も成約せず、保険を販売せずでした。顧問先に積極的に販売しなかったからです。その理由は、いくつかあります。
(1)専属代理店がお客様の役に立つかの疑問
他の保険会社の商品と比較して、ベストな保険を選択してもらうべきでは?という考えが常に頭の中にありました。一人で税理士事務所を経営している場合、どこか一社の専属代理店にしかなれず、顧問先にとって本当にベストな保険商品の提案であるか、自信がありませんでした。保険会社の営業マンをみていると、自社の商品がナンバーワンであるという自信に満ちあふれて、提案されています。私にはそれが出来ませんでした。
(2)必要な保障を超えた節税提案にこだわりすぎることの弊害
保険とは、本来、万が一の事故があった場合に、預貯金等ではフォロー出来ないリスクに対応するために必要な保障であると考えます。それなのに、その保障をこえて、節税のために保険をかけるという提案をすることに、少しためらいがありました。
掛け捨てではない節税のための保険については、いつか解約して、手元にお金を戻す必要があります。保険を掛けたときには、節税になって顧問先に喜んでもらえたとしても、解約して保険料が戻ってくるときに結局その時点で税金がとられ長期的に考えると節税になるのか疑問になるケースもあります。
また仮に保険料を支払うことで、節税になって税務署への納税額を抑えられたとします。しかし、途中解約したときに、拠出した保険料の総額より2割程度少ない解約金しかもらえない契約もあります。その場合、必要でない保障をかけたことにより、支出した保険料の一部を、保険会社に不要な保障の代償として渡してしまうことになります。(必要な保障なら、リスクに対する代償ですから、もちろん受忍すべきものですが。)
顧問先に本当にメリットがあるのかを考えると、保険を節税のためとして安易に勧めることに少し違和感がありました。
(3)顧問先へ最善のアドバイスをする約束との矛盾
前記(1)・(2)とも関係しますが、税理士事務所が保険を販売して保険の代理店報酬を受け取ることと、税理士として顧問契約していただいた顧問先へ最適なアドバイスを約束するすることにどうしても矛盾が生じてしまうことがあります。
保険の代理店としては、保険を出来るだけ販売して、手数料を稼ぐことが合理的な行動です。ただ、顧問契約した顧問先には最善のアドバイスをする必要があります。
もちろん、税理士事務所としては税務の顧問契約なので、納税額を最少にさえすればよいとうい考えも出来ます。しかし、総合的に顧問先と関わりたいと思っている私からすれば、合理的でない行き過ぎた保険提案をすることは、最善のアドバイスではないと考えていました。
3.保険代理店契約を解除
本来、保険代理店はノルマがあり、営業成績が一定レベルに達しないと解除されるものです。しかし、税理士会の仕事を一時お手伝いしたことの特例として代理店契約を解除されることがなくなり、結局7年間が経過していました。
当初意図した、税理士会からの仕事を受注したいという考え方も次第になくなり、代理店の看板をおろした方がいいと考えるようになっていました。しかし代理店業務を停止するきっかけがなく、ずるずると契約を続けてきました。
でも、積極的に販売する気もないのに、ずるずると代理店契約を続けることは、やはりおかしいと考え、今回代理店の看板を下ろすことを決意し、手続きを行いました。手続きが完了して、すっきりした気分です。
今後は、もし顧問先から保険の相談があれば、外部のプロの力を借りようと思っています。複数の保険会社の商品を扱う総合代理店が最適と思うので、顧問先に応じた、最適な保険会社の保険商品を提案していただく。そして顧問先の実状を知っている私が、その保険が本当に最適か、税務上・資金繰り上は問題ないか等を顧問先とも相談しながら考えていければと思います。
今西 学
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