国の税金もクレジットカードを利用して行うことが出来ます。

確定申告業務が終了し、少し余裕ができた先週、ビジネス雑誌である「週刊東洋経済」3月11日号を読んでみました。

この号の特集は、「おカネを殖やす」というテーマです。残念ながら、自分にとってすごく目新しい情報は少なかったのですが、「クレジットカード納税」についての記事があり、その部分は参考になりました。(記事自体は、半ページぐらいの小さなものだったのですが)

クレジットカード納税とは、「国税クレジットお支払サイト」からクレジットカードを使って国税を納付する方法です。そのサイトは国が運営しているように思っていたのですが、トヨタファインアンス株式会社が国から受託を受けて運営しているサイトとのことです。

実は、平成28年度税制改正で、税金のをクレジットカードで納付出来るようになるという情報は以前から知っていたのですが、クレジットカードの納税については手数料がかかるということで、あまり興味がありませんでした。手数料がかかるなら、手数料のかからない、納付書に現金を添えて金融機関の窓口で納付する方法や、前回の記事でご紹介した電子納税等で納付すればよく、クレジットカード納税をわざわざ利用しなくてもいいのでは?と、思っていたからです。ただ、上記雑誌の記事にも掲載されていましたが、上記サイトで調べてみると、手数料は思ったほどでもないので、クレジットカード利用によるカード会社のポイントがつくこと、及び利用しやすいことを考えると、積極的に利用してもいいのではと考えを改めました。

1.使える税目について
所得税、法人税、消費税、贈与税などほぼ全ての国税で利用が可能なようです。(給与等の天引き額を納付する「源泉所得税」の納付については平成29年6月からの開始予定とのこと。)

 

2.時間
土日も含めて、24時間利用可能なようです。すごく便利ですね。
また、カードの引落日とは関係なく、法定期限内に納税手続きが完了していれば延滞税は発生しないようです。(つまり国税庁のサイトでは明確に書いていませんが、手続きをした時点でカード会社から国税庁に立替払され、期限内に納付されたとなるのでしょう。)よって、申告期限ギリギリで納税しないといけない場合、金融機関へ午後3時を過ぎないようにかけこまないといけませんでしたが、このクレジットカード納付を使えば、申告期限日が終わる23時59分までに納税手続きを完了すればいいことになります。(ネットを使うので、回線のトラブル等も考えて、実際の納税する際には本当のギリギリで納税するのはやめましょう)

 

3.カード名義について
名義人本人がこのサイトを使ってカードを利用すれば、納税義務者と名義人が異なっても問題ないようです。よって、例えば、法人が納税義務者である消費税の納税を、社長名義のカードで支払っても、社長自身が当該サイトから納付すれば問題は無いようです。(この場合、役員借入金等の勘定科目が発生してしまうので、出来れば法人は法人カードで払うのをお勧めしますが、次に述べるカード限度額の問題もあるので、緊急の場合は個人カードも使えるということは知っておいて損はないと思います。)

 

4.限度額について
クレジットカード納付が出来る金額は1,000万円未満とのこと。消費税が3%上がり、8%になってから、事業者の消費税の納税額は増えていますが、それでも1,000万円以上納税することは通常の中小企業者の範囲ではあまりないでしょう。
ただし、クレジットカード会社は、名義人に対して信用や本人の希望により、クレジットの利用限度額を定めています。よって、実際にはそれを超えてクレジットカードを利用することは出来ないことから、(クレジットカード納税前にクレジットカードをあまり利用していないとしても)現実的には50万円~100万円ぐらいがクレジットカード納税の限度額になると思います。またカード利用限度額を納税で使い切ってしまうと、口座引落等で、利用限度額の枠が戻るまでは、カードがしばらく使えなくなることもあるのでご注意ください。

 

5.手数料とカード会社からもらえるポイントについて
手数料については、「国税クレジットお支払サイト」で計算出来るようになっていますので、ご確認ください。一言でいえば、1万円を超えるごとに82円かかることになります。
また、クレジットカード会社から付与されるクレジットカードのポイントは、納税の場合は、通常のポイント率とは異なるケースがあるそうです。私がよく使う楽天カードやYahoo! JAPANカードは、1%のままのようですので、1%以上のポイントがつく場合には、金額によっては、ポイント還元の方が、手数料より多くなるケースも多いと思います。

(手数料は、1万円を超えるごとに82円なので、納税額に対して単純に0.82%にはなりません。納税額10,000円なら82円が手数料なので、0.82%ですが、10,001円の納税額の場合、164円が手数料なので、率にすると1%を超えることになります。もっとも納税額が増えれば、どのような場合でも0.82%かそれを少し超えた数字にとどまり、常に1%以下になるでしょうが)納税額が少ないうちは、納税額に対する82円の割合が比較的大きいので、納税額に対する手数料率がポイント還元率1%を超えるケースもありえます。

 

6.クレジット納付のメリットとデメリット

(1)メリット
①手軽に納税出来、銀行等へ行く時間・待ち時間をなくす事が出来る
クレジットカード納税のメリットは、パソコンやスマートフォンから納税出来るので、銀行や郵便局へ行く時間であったり、待ち時間をなくすことが出来るということです。社員に銀行に行ってもらう場合はその時間の人件費のコストが削減出来ますし、一人で事業をしている人は、自分で今まで納税にかかっていた時間を削る事が出来、結果として業務の合理化につながることになります。それらのコスト・時間は実際にはそれほど多くないのかもしれませんが、経営をするのなら、そういったコストや時間に対して削減意識を持つことは非常に大切であると考えます。

 

②納税手続き日からクレジットカード会社の引落日までのタイムラグがあることによる資金繰り上のメリット
納付手続をしてから、実際にクレジットカード会社から納税額(正確にいうと手数料も含まれます)が引き落とされるのは、翌月以降になるでしょう。そうなると、その間、その資金を手元に留保出来ることとなり、このことは資金繰りの安定につながると思います。

(2)デメリット
①手数料がかかる
先に記載したことの繰り返しになりますが、このサイトで納税する際には、手数料がかかります。ただし、クレジットカード会社からのポイント還元がある場合、その手数料負担額の一部又は全部は補填されることになります。(お勧めのカードを記載しているサイト)ただ、クレジット納税を行うことで付与されるカード会社のポイントで何とかトクしようと過度に考えすぎるのも、時間の無駄のような気がします。1%還元のクレジットカードを使えば、それで十分だと個人的には思います。

 

②納税証明書の発行に納付手続をしてから3週間かかる。
クレジットカード納付の手続きをすれば、クレジット会社が税務署に納税額の支払を行うこととなり、納税は完了しているのですが、(万が一クレジットカードの引落が出来なかった場合には、税務署ではなくクレジットカード会社から照会の連絡があります。)税務署で「納税証明書」がでるのは、場合によっては3週間程度かかる場合があるとのこと。
銀行の融資や公的な申請で、納税証明書がなるべく早く必要としている場合には、クレジットカード納付以外の手続きをされた方がよいと言えます。

以上の、デメリットを踏まえた上で、一度ぜひトライしてみて下さい。

(編集後記)
先週末の25日土曜日は、ドトールで珈琲豆10%オフの日であったので、新しく発売された期間限定の珈琲豆を購入してきました。

ドトールの期間限定販売の珈琲豆は手軽に入手でき、どれもそこそこ飲みやすくて、おいしいと思います。お店で飲むときは、スターバックスのコーヒーにミルクと蜂蜜を入れていただくことが多いのですが、家でストレートで飲むときは、ドトールの珈琲豆の方が飲みやすくて、最近は専らドトールで珈琲豆を購入しています。また今回の珈琲豆も仕事の友として、飲むのが楽しみです。

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今西 学

今西 学

大阪の大東市(最寄駅:JR学研都市線の住道駅)で税理士事務所を開業中。(ホームページはこちら) このブログでは、税金・年金・お金の運用など日々の業務で気づいたことや、幼少の頃身体が弱かったことから常に健康で生きていきたいという思いで日々取りくんでいること等を記事にしています。 詳しくはこちら