資源をもたない中小企業者はライバルと同じ土俵で戦うのではなく自分の事業の特色を打ち出しましょう

みなさん。こんにちは。now3のアドレスでブログを更新している大東市の税理士・社労士の今西 学です。

私は、小さいときは、すごく負けん気の強い性格でした。今でもそういう気持ちはきっと心の中に潜んでいると思います。でも、最近、性格が変わってきたのか、意識的に変えてきたのか、負けると悔しいという気持ちを持たずに暮らしています。

1.負けん気の強さは長所だと思っていた

負けん気の強さは生まれつきのものか、育つ過程で身につけたのかわかりません。2つ上の、比較的年の近い兄がいたから、兄に負けたくないと思って育ったのかもしれないし、その影響かもしれません。

小学校・中学校までは、何をするにも、というと大げさかもしれませんが、当時は特に学校の勉強で誰にも負けたくないと思っていた気がします。

誰かに負けると、その負けた人を祝福するというより、悔しい気持ちがこみあげてきていました。抑えられない感情というような形で、内から沸々とこみ上げてきた印象が残っています。

こう書くとあまりよくない性質のように聞こえるかもしれません。が、その思いがあるから、コツコツ負けないために努力することも習慣化した気もします。その悔しさをエネルギーにして、努力をしていきたということは自分を向上させるためにはよかった面もあったと思います。

小児ぜんそくをわずらっていて身体があまり強くなかった自分にとって、中学校ぐらいまでは、負けん気が強いということは、生きるエネルギーとなっていたとも言えます。よって、自分の長所だと思っていました。

成人すると、少しずつ感情のコントロールは出来るようになったのか、その気持ちは弱まりました。が、30代前半で、地方公務員を退職しようと思ったときも、いろいろと要因はあるのですが、どこかに、同期のエリートが出世していくのが悔しくて、このまま同期の出世頭の連中に負け続けて公務員生活を送るのは嫌ななので、どこか新しい場所で勝負したいという思いもありました。

退職後、税理士試験を受験したときも、負けん気の強さで戦っていた気がします。五科目合格するまで、6年間、税理士試験を受験したのですが、それぞれの科目で、上位1割に入らないと不合格になってしまう試験で、一年間やってきた努力が水の泡になってしまいます。

このときは、学校や役所と違い、具体的な競争相手の顔が見えるわけではなかったですが、他の受験生は、こういうときでも勉強しているだろうから、もっと集中して、負けずにがんばらねいとという気持ちをもって受験勉強をやっていた記憶があります。

2.負けん気の強さをエネルギーにしてのりきろうとした起業後

税理士試験になんとか合格し、独立開業した当初も、負けん気の強さをもって望んでいたと思います。

同じぐらいの年齢の税理士が、従業員を何人雇っている、顧問先が何件ある、ということに対して、いつかは追いつきたいという思いをもっていました。

また、とてもかなわないというレベルの規模の事務所を経営している税理士に対しては、せめて税金の専門家としての税理士の能力では負けたくないという思いで、普通の中小企業ではめったに遭遇しない、合併・分割等組織再編をはじめとする難しい論点の研修会に行ったりして、税務の幅広い知識を身につけようとしていました。

独立後、中小企業診断士をとったのも、もちろんお客様に役立つためというのもありましたが、どこかで他の税理士と能力面で差別化したいという思いもあったことは否定出来ません。

3.負けん気の強さだけでは乗り切れないと感じるようになった

しかし、無理に事務所を拡大しようとしたら、どんなお客様とでも売上を増やすためには契約しないといけない、多少値引きしてでも売上を拡大しないといけないとして、事業を行ってきたのですが、ひずみがでてきました。また、難しい税務の知識を身につけても、結局中小企業の現場で役立つ知識は限定され、難しい税務の知識は役立つことがなく、しばらくして高い研修費用を払って勉強したこともさび付いてしまい、役に立たなくなってしまうこともしばしばありました。

開業して数年たち、ふと気づきました。売上やそのための従業員規模の拡大を行い、負けないように戦っていくのは経営資源のある大企業のやることであり、中小企業は、規模を拡大すること、売上をあげることだけを考えるのではなく、自分にあった特徴を生かし、差別化し、長期的に生き残ることが重要なのではないかと。

一人でも多くの人に喜んでもらうことは素晴らしいことなので、事業を幅広く展開している税理士は心よりすごいと思っています。

ただ、本当に自分のサービスを喜んでくる人が少しでもいて、ありがたく感謝して報酬を払ってくれるのなら、そういう人のニーズに深く応える生き方こそ、経営資源のない自営業の目指すべきではないかと。

これだけネットの発達した時代は、資金力のある大手事務所が広告をどんどんうって、拡大し、税理士事務所も巨大化してきています。

でも、逆にヒト、カネ、モノという資源をもたない事業者でもネットを使い発信することで、生き残れる時代でもあると思うのです。

今でも負けると悔しい気がなくなったわけではないと思います。同業者の集まりで、自慢されると少し負けん気の虫が動くこともあります。(最近は、自分にとって役立たない同業者の会合には参加しないことにしましたが)

若いときは、負けん気が強く、一生懸命に物事に取り組むことが長所だと認識しており、まわりの人も男女問わず、そういうところがかっこいいと言ってくれたので、そういう自分を失うことは少し寂しい気もします。平凡な人間になってしまったのかなと。ただ、生き残るための進化だと捉えて、前向きにとらえていかねばと考えています。

4.資源をもたない中小企業者に共通する原理では?

経営資源のない中小企業者が生き残るには、みなライバルを分析することは必要ですが、過度にライバルと同じ土俵で戦い、ライバルの仕事のやり方、価格等にとらわれてもいけないと思うのです。

当然、最低限の売上をあげ利益を出すことは必要ですが、そのような中にもどういう経営をしていきたいかという意識を強くもって経営していくべきなのではと思います。

もちろん、そんなことをしなくとも、事業の内容自体がものすごく斬新なら、それだけで世間は注目してくれ、自然とお客様は集まるでしょう。でも、そうでない中小企業経営者の方も多いと思います。

私を含め、そのような方々は、規模の拡大より同業者の中で、自分の事業の特色をどのように出し、発信していくかということを長期的スパンで考えていく必要があるのではと考えています。

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今西 学

今西 学

大阪の大東市(最寄駅:JR学研都市線の住道駅)で税理士事務所を開業中。(ホームページはこちら) このブログでは、税金・年金・お金の運用など日々の業務で気づいたことや、幼少の頃身体が弱かったことから常に健康で生きていきたいという思いで日々取りくんでいること等を記事にしています。 詳しくはこちら