みなさん。こんにちは。now3のアドレスでブログを更新している大東市の税理士・社労士の今西 学です。
スーパーなどで食料品を購入するとき、税抜表示と税込表示がありますね。私が食料品をたまに買い物する京阪百貨店では税込表示ですが、その他よく行く3つのスーパーでは税抜表示になっています。
この税抜表示は、消費税が5%から段階的に10%へ上がっていくときに、販売者が消費税分を円滑に価格に上乗せ出来るよう制定された「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」に基づく期間限定の特例で、これにより現在は税抜表示も容認されています。
法律上は、本来2004年(平成16年4月1日)から総額主義つまり税込み表示が原則です。(消費税法第63条)
この価格表示の期間限定の特例が、消費税率10%への実施が二度にわたって延期になったことから、いったいいつまで認められているのか、税理士である私もわからなくなってきたので、今回あらためて調べてみました。(上記の特別措置法はこちらです。その第四章の第十条に記載されています。)
1.消費税の増税時期
まずは、消費税の増税スケジュールの確認をしておきます。
当初、法律で定められていた消費税率アップのスケジュールは、5%→8%に平成26年4月1日~実施し、8%→10%に平成27年10月1日~実施とされていました。
実際には、5%→8%へは予定通り平成26年4月1日~実施されましたが、8%→10%への増税は景気悪化に伴い予定通り引き上げるのが難しくなったため、平成29年4月1日~実施と変更になりました。
そして、その後8%→10%への増税はさらに平成31年10月1日~実施へと変更になっています。この実施時期が今度こそ延期されなければ、あと2年余りで消費税は増税されることになります。
2.税抜表示が認められる期間
本来税込表示が原則だったのに、税抜表示も認められたのは、税込表示(総額表示)だと消費税の税率アップ分価格があがるので、販売者が価格転嫁しにくくなり、転嫁できなくなることによる販売者そしてその仕入業者等の利益悪化を防ぐという意味で、増税からしばらくは税抜表示を認めるという趣旨であると聞いています。
その根拠ととなる特例の法律が、先にもあげた「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」です。これによると小売店の価格表示の準備の関係もあり、この税抜表示は5%→8%に増税する半年前の平成25年10月1日~認められました。
そして、この特別措置法は、当初の8%→10%へ税率があがる平成27年10月1日から1年半後の平成29年3月31日には、役目を終えて効力がなくなることになっていました。つまり、当初の予定通りの増税スケジュールが実施されておれば、増税から1年半後には価格転嫁も問題なく出来ているだろうから、再びすべて税込表示に戻る予定だったのです。
しかし、消費税8%→10%が二度延期され、現在はこの特別措置法も8%→10%へ増税される平成31年10月1日から一年半後の平成33年3月31日まで期限が延長されているようです。(この特別措置法の、最後の方に記されている附則に「この法律は、平成33年3月31日限りその効力を失う」と記載されています。)よって、今の法律上は平成33年3月末まで、税抜表示も認められていることになります。
3.税込表示の方が消費者にはわかりやすい
消費税法第63条で税込表示に統一されたのは、消費者が買物する際、総支払額が明確になったうえで、買物をするか判断しやすいようにするためであり、消費者の便宜(利益)のためのものであったはずです。
私も、いまだに同じ物が税抜表示の店で299円で売られており、税込表示の店で315円で売られていたら、299円の方に目がひかれてしまう現実があります。(私「も」と書きましたが、みなさんは冷静に買物されているかもしれませんが・・・)
また税率「8%」というのがややこしさに輪をかけている気もします。「税抜き表示×1.08」がすぐ頭に出てこないときありませんか?
販売者が消費税値上げ分を円滑に価格に転嫁するための処置としては、やむを得ないこととは思いますが、はやくすべて税込表示に戻ってほしいですね。
個人的には、もし次の10%への増税時期である平成31年10月1日~もさらに延期するなら、延期でなく白紙に戻し、速やかに税込表示に戻してほしいと思っています。
今西 学
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