中古車の時価の算定が必要なときに活用できそうな自動車査定協会の査定証明書について

みなさん。こんにちは。now3のアドレスでブログを更新している大東市の税理士・社労士の今西 学です。

税務の実務をしていると、車の中古価格を調べないといけないときがあります。そんなとき、どのように時価であるその車の価格を求めるのか?本日は、そのための一つの方法のご紹介です。

自分の経営している同族会社が所有している車両を、社長個人に売却するとき、あるいはその逆に社長所有の中古車を自分の経営している会社に売却する等の場合には、その車両が現時点でいくらであるかという時価の把握が必要です。

上記のように、自分の会社の車を社長である自分に売却するとき等は、実際に中古車市場を通すわけでもありません。よって、自分たちでいくらで売却するかという売却価格を決めることになります。

が、利害を共通にするもの間で、税金に有利なことだけを考えて、恣意的に価格を決めて売却すると、後日税務署にその価格が否認されるケースも出てくるでしょう。

そうなると、後日納税が発生し、過小申告加算税や延滞税などのペナルティの税金もかかります。よって一般的な第三者間で売買されるであろう価格で売却するのが原則です。

しかし、個別の中古車の、一般的な第三者間で売買されるであろう価格、つまり中古車の時価の算定は、意外と難しいものです。

その場合に、法人が所有していた車なら、会計帳簿があるので、買った値段から、既に減価償却費として費用計上した合計額を控除した簿価がついています。よってその価額で売却すれば大きな問題にはなることはないかもしれません。

しかし、社長個人が何年か乗っていた車を法人に売却するときなどは、事業に使っていなかったので、車の帳簿価額はありません。よって、いくらの価格にすべきか、悩ましいときがでてきます。

その場合において、社長の知り合いの中古車ディーラーに概算の値段を聞いて、その価格をもとに売却価格にすることもありました。

また所得税法の非業務用資産を業務の用に供した場合の未償却残額(取得価額から減価の額の累計額を控除した金額)をベースに中古価格を算定したこともありました。(詳細はこちらの国税庁のサイトよりご確認ください。)

このような算定方法で価格を求めることで、税務上の大きな問題が発生することはないとは思います。

ただ知り合いの中古車ディーラーに口頭で聞く方法は、個別の車の状況はふまえてくるのかもしれませんが、「口頭」であるゆえ、後から本当に正しかったのかという証拠能力としては弱い気がします。

また税法の簿価等による求め方は、経過年数をもとに一律に同じ算式で、取得費から差し引く、減価償却費や減価の額を算定し、時価を求めるので、根拠は明確です。ただ個別の車の実態に応じて評価しているわけではありません。

そんなとき、どうしたらいいのか?と考えていると、先日、一般財団法人日本自動車査定協会の存在をネットで知りました。こちらのサイトです。こちらで、自動車の査定業務を行っており、査定証明書を発行してくれるとのことでした。

日本自動車査定協会は、各地に支所があり、私の住んでいる大阪には、「大阪府支所」があります。

大阪府支所のサイトでも、査定をうける場合の「査定料・査定依頼」の情報が出ています。(こちらのサイト

しかし若干不明な点もあったので、日本自動車査定協会大阪府支所に直接電話で問い合わせてみたところ、丁寧に回答をいただきました。以下、要点をまとめておきます。

・査定は、大阪府支所の所在地に車両をもっていき査定をしてもらう、あるいは指定の場所に査定員が訪問しその場で車両を査定するのどちらも可能である。

・ただし、どちらの場合でも予約が必要である。また、大阪府支所の所在地にて査定を行う場合は、日中は査定員が出ていることが多いので、朝9:30~10:00か夕方16時以降でしか対応出来ないとのこと。

・査定にかかる時間は30~40分。査定中は、依頼する側の立ち会いが必要。

・査定後には、査定証明書が発行される。ただ証明書発行は当日ではなく、約一週間程度に手元につくよう郵送されてくるとのこと。

・料金は、査定料及び査定証明書の郵送料510円がかかる。また、出張査定の場合は、出張費が加算される。(参考までに私の事務所がある大東市まで来ていただいて日産の普通車を査定していただいた場合を聞いてみました。査定料7,020円と郵送代510円と出張費2,660円の合計10,190円ということでした。)

私は、今回、初めて日本自動車査定協会の査定・査定証明書の制度を知ったのですが、既にかなり利用されているようで、結構予約も詰まっているようです。

この査定なら、個別の車の状況に応じた中古価格の時価が査定出来ると思います。また、証明書が発行されるので、根拠資料としても記録に残せるので、安心感があります。

法人設立の時に、個人が中古車を現物出資する場合などには、正確な車の時価を根拠資料をもって算定することが求められてきます。そのような場合にも活用できるでしょう。

今後必要に応じて、お客様の車の時価の算定が必要なときに上記査定の利用も考えてみたいと思います。

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今西 学

今西 学

大阪の大東市(最寄駅:JR学研都市線の住道駅)で税理士事務所を開業中。(ホームページはこちら) このブログでは、税金・年金・お金の運用など日々の業務で気づいたことや、幼少の頃身体が弱かったことから常に健康で生きていきたいという思いで日々取りくんでいること等を記事にしています。 詳しくはこちら