NISAに係る税制改正及びマイナンバーの提出時期

みなさん。こんにちは。now3のアドレスでブログを更新している大東市の税理士・社労士の今西 学です。

本日は、投資に係る税制であるNISA(少額投資非課税制度)について、税制改正などもあり、今後注意すべき点に絞って理解を深めてみたいと思います。

先日、税務会計経営情報サイトで、「NISAが10兆円超え7割強が50代以上」という記事がありました。資産運用に興味を持たれている若い世代の方も多いという認識をもっており、NISAも若い世代も多く活用されていると認識していたのです、実際には50代以上が多いようですね。

さてこのブログを読まているみなさんは、NISA口座開設されていますか?1年目の2014年(平成26年)から口座を開設している方は、今年2017年で4年目になります。私も、まだ2017年はNISA口座での投資はしていないのですが、過去3年は、投資を行いました。私は、SBI証券でNISA口座を開設しています。

(1)NISA創設の趣旨・内容

まずはご存じの方も多いと思いますが、簡単に概要をお話しします。

株式の売却益 及び 株の配当については、所得税で15%、住民税で5%の合計20%の税金が徴収されます。しかし、2013年(平成25年)までは、景気対策等の意味合いもあり、所得税で7%、住民税で3%の合計10%のみの税金ですんでいました。しかし、2014年(平成26年)からは、特例が廃止され、税率が10%→20%に変更になった(本来の税率に戻ることになった)ことから、その激変緩和措置として導入された制度です。

年間120万円(平成26・27年は100万でした)までのNISA口座新規購入分を対象に、その口座に入れた有価証券からの配当や譲渡益を最長5年間、非課税にする制度で、日本国内に住む20才以上の人ならだれでも口座が作れます。

具体的には、120万円で購入した株式が4年後に300万円で売却したら、通常は利益180万円の20%である36万円の税金が徴収されますが、このNISA口座で投資し、売却した場合には、非課税となるため、その36万円の税金がかかりません。また、そのNISA口座に入れた証券からの配当についても非課税になっています。

なお投資可能期間は、平成26年~平成35年の間ですので、平成35年に投資した分が、5年後の平成39年末を迎えると、この制度は完全に終了することになります。

(2)ロールオーバーと税制改正

2014年(平成26年)投資分は、来年2018年(平成30年)末をもって5年の期限が到来します。ただし、ロールオーバーといって、平成31年の非課税枠を使い、そのまま平成31年~平成35年の非課税枠で売却益を精算せず、継続してさらに5年間非課税のまま保有することができることとなっています。

このロールオーバーできる額が平成29年度の税制改正で変更になりました。従来は、ロールオーバー出来る額は、ロールオーバー時の時価で120万円までとされていました。平成26年に投資額100万円で購入した有価証券を5年間保有し、平成30年末に時価150万円に値上がりしていたら、平成31年の非課税枠120万円部分だけが、ロールオーバーされ、残り30万円部分は、売却するか、保有を継続するなら、一般の口座(特定口座等)に取得価額30万円で移行されることになっていました。

しかし、平成29年度税制改正により、ロールオーバーされる上場株式等については、120万円という限度額が廃止されたので、150万円全額がロールオーバーできるようになり、さらに5年間(最長計10年間)非課税口座にて継続保有することができるようになりました。(ただし、その場合、平成31年の非課税枠は使い切ってしまうので、平成31年に新規のNISA口座での投資はできなくなってしまいますが・・・)

私自身も、平成26年にNISA口座で投資した「パラカ」という会社(時間貸し駐車場を運営・管理する会社です。)の株式に、855円で600株投資し、現在も保有中です。株価は平成29年5月19日現在で、2005円になっており、600株の時価が1,203,00円となっています。

もしこの時点で平成30年末のロールオーバーの時期を迎えていたら時価が120万円を3000円オーバーしているので、ロールオーバーしようとしても従来までの法律だと最低売買単位の100株を売却か一般口座(特定口座)に移す選択をし、120万円以下にしないといけないところでした。

ただ今後は、このままの時価であっても全額ロールオーバーして、もう5年間非課税のNISA口座に入れ、さらなる値上がりをした時点で売却し、結果として非課税額を大きくする可能性にかけることもできることになります。この場合、取得価額の単価は、855円を引き継ぎます。

なお、平成26年投資分を平成31年の非課税枠にロールオーバーするのかは、来年平成30年末までに選択することになるはずです。具体的な手続きは調べてみたのですが、まだ来年以降のことなので、手続きの詳細について記載された資料は見つかりませんでした。

ただ間違いなく、何らかの意思表示をNISA口座を開設している金融機関に来年末までにすることになるのではないでしょうか。ロールオーバーを考えておられる方は、預けておられる金融機関の案内に注意するようにしてください。

(3)マイナンバーの提出時期について

①原則

銀行口座へのマイバンバーの活用は、2018年(平成30年)より行われることになりますが、口座開設する個人がマイバンバーを登録するかは、「現時点」の法律では任意で、強制力はありません。(いずれきっと強制になるはずです。)

一方、証券会社での新規の口座開設に際しては、2016年(平成28年)より、マイナンバーの通知が必須になっており、2015年(平成27年)12月末までに証券会社の口座を開設している人は、猶予がある3年間が経過するまで、つまり「2018年(平成30年)末」までに証券会社にマイナンバーを通知する必要があります。(SBI証券のサイト、他の証券会社もほぼ同じ扱いのようです。)

銀行口座との扱いの違いについては、証券会社は、特定口座の売却損益や配当金などの課税される所得に対して税金の徴収を行っており、特定口座の年間取引報告書を作成したり、支払調書を税務署に提出しています。よって、銀行口座とは違い、証券口座とは違い課税所得に関係する口座なので、マイナンバーの登録が強制になっているわけです。

②NISA口座を保有している場合

NISA口座は、10年限定の制度なのですが、その中でも3つの基準設定期間があり、10年は4年と4年と2年の3つの期間で計10年になっています。

第一期間:2014年1月~2017年12月末
第二期間:2018年1月~2021年12月末
第三期間:2022年1月~2023年12月末

この期間ごとに、NISA口座を作る証券会社をそれぞれ選択する(もちろん同一の証券会社でもよい)ことというのが制度発足時の考え方でした。現在では毎年証券会社を変更することもできるようになったのですが、上記期間の考え方は残っています。

というのも、それぞれの期間ごとに、非課税口座を開設するための手続きが、たとえ同一証券会社にNISAの口座を置いたままでも改めて必要となります。(実際には、証券会社が代行してくれることが多いです。)

そして今年の平成29年末に、第一期間が終わるのですが、引き続き、第二期間も同じ証券会社でNISAの口座をつくる場合においても、「平成29年9月末」までにマイナンバーを証券会社に通知しないと、また住民票を取得したうえで、一からNISA口座開設の手続きをマイナンバーの通知とともに証券会社に対して行わないといけなくなります。

一方、「平成29年9月末」までにマイナンバーを証券会社に提出すると、口座開設者は、特段手続きなく、(証券会社と税務署のやりとりだけで)次の期間も自動的にNISA口座が作成されることになります。

考えようによっては、この時点で、また違う証券会社にNISA口座を心機一転開設するのもいいかもしれませんが、上記(2)のロールオーバーするには、異なる証券会社間のでロールオーバーは出来ないので、基本的には同じ証券会社で、NISA口座を持っておく必要があります。

よって、今後ロールオーバーを考えておられる方、今の証券会社でNISA口座を継続して持ち続けたい方には、今年の9月末までにマイナンバーを証券会社に通知しておくべきでしょう。

以上、NISAの税制改正やマイナンバーの証券会社への通知について、まとめてみました。なお証券税制については、401Kも含めて折に触れて記事にしてみたいと思っています。

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今西 学

今西 学

大阪の大東市(最寄駅:JR学研都市線の住道駅)で税理士事務所を開業中。(ホームページはこちら) このブログでは、税金・年金・お金の運用など日々の業務で気づいたことや、幼少の頃身体が弱かったことから常に健康で生きていきたいという思いで日々取りくんでいること等を記事にしています。 詳しくはこちら