吉越浩一郎氏著作『まずは「区切る」から始めなさい』を読んで、私が気づきを得た点

みなさん。こんにちは。now3のアドレスでブログを更新している大東市の税理士・社労士の今西 学です。

今週、移動時間などを使って電子書籍で購入した吉越浩一郎氏著作の『まずは「区切る」から始めなさい』を読みました。

吉越浩一郎氏の著作は、過去に何冊か読んでおり、著者の主張する考え方は多少理解しているつもりです。今回の本は、非常に読みやすい本ですが、既に著者の書籍を何冊か読んでいる私にとっては、書籍全体としてみれば特に目新しさはなかった気もします。

ただそれでも自分にとって、いくつかの新しい気づきを得ました。二点ほどピックアップして、まとめておきたいと思います。

1.仕事には必ず対価が発生するもの

著者は、対価を超えた過剰なサービスを「おもてなし」だと勘違いする人が、どうも日本には少なくないようであると主張され、その習慣をあらためるよう主張されています。

「私は、日本人のおもてなしは素晴らしいと思いますが、それに対する金額はきちんと請求すべきという立場です。」

と述べられています。

きちんと仕事の対価を請求している例として、サービスの素晴らしさで有名なリッツカールトンホテルをあげられています。(残念ながら私は利用したことはないのですが・・・)

リッツカールトンホテルでは、そのサービスの対価をきちんと宿泊料金にチャージされていると著者は断定されています。

そして(対極の例ではありませんが、)日本にみられる過剰なおもてなしの一つとして、「サービス残業」という悪しき言葉として著者は例をあげておられます。

サービス残業は、「社員は無料で会社におもてなしをしろといわれているもの」と、対価を超えた過剰なサービスをする日本のあり方を問題視され、次のように述べられています。

サービスに対価が発生するのは当然ですから、こんな要求は断固拒絶しなければなりません。ついでにいえば、契約にない過剰な部分でいくら評価されても、そんなものに価値はないのです。

この言葉、私自身の今の税理士業務の悩みにズバリと答えていただいたようで、とても響きましたし、参考になりました。税理士事務所として顧問契約を契約したお客様にどこまでサービスするかという悩みです。

というのも、税理士事務所の顧問契約は、基本的には、その年度の決算を組む過程における「会計・税務」についてのアドバイスを行うことが原則的なサービス内容となります。

しかし、税理士事務所は、経営者の経営に関する様々な相談の窓口になることも多いと言われています。実際に私も、労働基準法のこと、社会保険のこと、人材採用のことなどいろいろな相談を受けることもあります。

程度問題かもしれませんが、例えばある顧問先から給与ソフトの操作方法について質問をうけたことがあります。はじめに電話で1時間半、その後もたまに操作方法の質問で電話がかかってきました。

本来、給与ソフトの操作指導は、顧問契約の範囲外のはずですが、このときは、対価を請求出来ず、かなりの時間をかけることになりました。

私の事務所では、低価格競争に巻き込まれないよう、付加価値のあるサービスの提供を目指してはいるのです。よって、いろんなことにも相談にのれればとは思っているのですが・・・。

恒常的に出てくる仕事なら、リッツカールトンホテルのように、はじめからその部分を顧問料にオンしておけば問題ないのでしょう。ただそうでない場合は、結局対価を請求出来ず、ボランティアになっていました。

また他にも、労働保険料の申告書作成なども対価を請求せず、以前は作成していました。弊事務所と契約する前の税理士事務所では労働保険料の申告書作成なども無料でやっていたと伝えられたからです。

その税理士事務所に負けるわけにはいかないと、別途請求もせず、おもてなし的な無料のサービスを提供してしまっていました。ただ人数が多い顧問先になると、労働保険料の申告書も非常に手間がかかるものです。

これについては、約2年前に社会保険労務士の資格をとったこともあり、今年度分からは、私の事務所で処理する場合には、若干の報酬をいただくことにしました。

労働保険料の申告書については、完成物があるので、対価を請求する場合も納得していただきやすいですが、相談・アドバイスといった無形のサービスについてはどこまで顧問先に対価を請求するのか、今まで悩ましく思っていました。

そんな悩みを抱えていたこともあり、吉越氏の言葉に今回勇気をもらいました。サービスに対価は発生するのは当然と考えます。

吉越氏の言うとおり、契約にないおもてなし的な過剰な部分でいくら評価されても、本当の意味でのサービスに対する評価ではないのでしょう。

これからは、顧問契約の範囲を締結の際に明確にして、顧問契約を締結する。そして、その契約の範囲内で評価されるよう、よりしっかりと責任をもつ仕事をしていく。

また顧問契約対象外の成果物、及び無形のノウハウの伝授については、顧問契約対象外である旨お伝えし、ここから先は対価がかかる旨と見積額をお伝えする。おもてなしのように何でも無償で受けるのは止めるべきですね。

こう決意した後、ふと考えました。この考えがもし日本全国に浸透したら、世の中は少しギスギスするのかな?とも思います。

もちろん、私も一消費者でもあり、サービスの受け手になることもあるので、今まで無料で受けてこられたサービスが受けられないようになる面もあるかもしれません。

でも、サービスに伴う対価は必ず発生する世の中になれば、働き手でもある個人の責任感も増し、いい仕事が生まれるはずです。またサービス残業などがなくなることで、人生における自由な時間が増え、人生の豊かさを享受できる人も増えるでしょう。

そう考えれば、私自身はプラスに考えるようにしていきたいと思います。

2.ものごとを成し遂げない人の特徴は、言い訳が以上に上手いということ

もう一点この書籍から、気づきを得たポイントがあります。それが、著者の主張する「ものごとを成し遂げない人の特徴は、言い訳が異常に上手いということ」ということです。

言い訳の例として、「妻が賛成してくれなかった」「会社で依頼された仕事を断れなかった」「子どもの学費が思いのほかかかって資金繰りに窮してしまった」などをあげておられます。

確かに私自身も何人かの言い訳のうまい人を、過去において知っている気がします。

著者は、どんなに言い訳を考えたとしても自分の人生にプラスになる面はないとし、

仮にその言い訳が正しかったとしても、その理由をクリアさえすれば、逆に出来るということなのです。

と言い訳を理由にあきらめることを強く戒めておられます。

私自身は、他人に対して言い訳をなるべく言わないように心がけてはいるので、はじめは、このような著者の考え方に触れても、私には関係ないと思いました。しかし、その後の文章を読みと、自分も反省しなければと思い直しました。

著者は、PDCAのAをあきらめのことだと思い込んでいる人が多いとし、

目標に到達するまでPDCAサイクルを回し続けるには、Aはあくまでactionでなければならないのです。

と述べています。

この文章を読んで、あらためて自分をみつめると自分もよく言い訳していると思いました。

自分は一人で税理士事務所を経営している自営業ですが、ある目的をもってお金と時間を投資をすることがあります。例えばホームページの作成、パンフレットの作成などなど。

そんなとき、いったん完成してしまうと、頑張って作成したこと、努力に満足してしまっています。実行の結果、当初の目的が達成出来ないと認識・検証しても(PDCAのC)、その後の改善を真剣に考え、行動が出来ていません。

「今の時代は税理士業界は厳しいから仕方ない」「自分には運がないな」等、もうこれ以上どうしようもないと自分自身に言い訳し、すぐにあきらめている気がします。

もちろん、投資には失敗もあるし、最終的には失敗を認め、撤退した方がいいこともあるでしょう。

しかし、真剣に改善を考えたかとうと、自分への言い訳のせいで、改善しようという強い意志が働かず、PDCAのAが出来ていないのではないかと気付かされました。

著者は、「成功するまであきらめない」ことを勧めておられます。私も今後は、まわりの状況がどうであろうと、PDCAをまわすようにし、言い訳せず、しぶとく物事に取り組んでいかねばと心に刻みました。

経営者は、言い訳を考えるのではなく、あくまで挑み続ける姿勢が必要な気がします。PDCAは、ビジネスの基本と言われますが、著者の言うとおり、出来ている人は意外と少ないのかもしれません。

 

以上、私は吉越氏の著作から、いつもなんらかの刺激を受けます。今回気づきをえた点を、今後の業務で実践していきたいと思います。

The following two tabs change content below.
今西 学

今西 学

大阪の大東市(最寄駅:JR学研都市線の住道駅)で税理士事務所を開業中。(ホームページはこちら) このブログでは、税金・年金・お金の運用など日々の業務で気づいたことや、幼少の頃身体が弱かったことから常に健康で生きていきたいという思いで日々取りくんでいること等を記事にしています。 詳しくはこちら