多くの分配金が出せるJ-REITの投資法人の仕組み と スポンサーの役割 についてまとめてみました。

みなさん。こんにちは。now3のアドレスでブログを更新している大東市の税理士・社労士の今西 学です。

8月下旬にJ-REITセミナーに参加したのですが、その参加前にJ-REITについて、基本的なことを知っておきたいと思い、概要を勉強し直しました。今回特に自分の気になっていた多くの分配金が出せるJ-REITの投資法人の仕組み と スポンサーの役割についてまとめてみたいと思います。

1.私のJ-REITに対する投資について

J-REIT(日本版不動産投資信託)について、それほど深く内容を知っているわけではありません。しかし、勉強と資金を分散する観点から、少しだけ持っておこうと、考えていました。

そこで、東急不動産がスポンサーで「都市型商業施設及び東京オフィスへの重点投資」で物件を組んでいる、”アクティビア・プロパティーズ投資法人”を2口分、1年半ほど前に購入しました。

また投資信託でDIAM J-REITオープン(2カ月決算コース)という商品を少しだけ保有しています。

J-REIT全体の動きを示す東証REIT指数(日本株でいえば日経平均的なもの)は、昨年2016年春には、日銀のマイナス金利導入の影響で、1,981ポイントという高値をつけました。

しかし、その後、指数は右肩下がりとなり、現在では、1,600ポイント台の後半と、低迷しています。

私が2015年末に購入したアクティビア・プロパティーズ投資法人も一時は、60万迄上昇しましたが、今はほぼ買値と同じ47万円前後にまで下がっています。

また投資信託も買値より10%程度下がっております。(分配金を2ヶ月に一度受け取っているので、分配金込みで考えれば大きな運用損はしていませんが)

今回、J-REITが低迷していることから、逆に買い場とも考えられるます。格付けの高いREITでも、4%を超える利回りで回るものもあります。そんなこともあり、8月末のセミナーに申込しました。

そしてそのセミナー参加前に、北野琴奈氏著作「はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント」を参考に、J-REITについて詳細に勉強してました。

2.多くの分配金が出しやすいJ-REIT の大まかな仕組み

J-REITは、不動産の賃貸物件を所有することだけが目的の投資法人(株式会社のようなもの)を設立することになります。

その投資法人の設立に際し、株式会社でいう資本金のような投資口を投資主(株式会社でいう株主のような存在)に発行し、その投資口を購入した人から資金を集めます。

そしてその集めた資金と銀行から借入した資金で、運用不動産を購入し、そこからでた収益を投資主に分配するという仕組みです。

(1)当期利益の90%以上を配当することで、法人税が実質的にかからない。

この投資法人の大きな特徴は、収入から経費を差し引いた当期利益のの90%以上を分配すれば、実質的に法人税がほとんどかからない仕組みが認められているとのことです。

(税務的な専門用語でいえば、その分配金が損金として扱われるます。よって利益のほぼ全部を配当にまわせば、法人税は実質的にかからないということだそうです。)

これがもし株式会社で不動産を購入し、賃貸物件を取得し、運用により収益を稼いだとしましょう。その場合、当期利益の約30%について、法人税等を支払わないといけません。

言い換えると、税引き後利益の残り全部を配当に回したとしても当期利益の70%しか配当出来ないことになります。

通常の株式会社で同様な仕組みをつくるより、この不動産投資信託の投資法人は、税金上優遇され、分配金も多くなるような仕組みになっています。

しかし、投資から集めた投資口の資金だけでなく、こういった投資法人は金融機関から借入をして、不動産を運用する資金に充てていると聞いたことがあります。

その方が多くの物件を購入出来、投資口の資金だけで運営するより、利回りが増える可能性が高いはずです。(もちろん借入しすぎて、借入利息が運用益を上回るようではまずいでしょうが)

そうであるなら、収益のほとんどを配当してしまって、その物件購入に充てる借入金を返済していけるのか?という疑問が一瞬生じました。

しかし、当期にお金が出ていかない経費として、物件の減価償却費があります。それ以下の返済金額なら、返済していけることになりますね。(減価償却費は当期の経費として、物件建物の取得金額を耐用年数で割った均等額が計上されます。)

また投資口を発行する(いわゆる増資)をするという選択肢もあるのでしょう。

(2)スポンサーとはどういう存在なのか?

投資法人は、投資物件を所有する器だけの法人です。実際の投資物件の管理・運用、投資物件の調達も含めて、投資法人とは別の資産運用会社が行うことが義務づけられています。

(他にも、資産を保管する「資産保管会社」、一般事務等を委託する「事務委託会社」に業務を任せることが義務づけられています。)

J-REITの仕組みの中心となるのが、資産運用会社であり、この資産運用会社への出資をするのがスポンサーになります。資産運用会社は、その利回りをあげるために最も重要な役割を担っています。

そのためスポンサーがどこかによって、そのREITの信用、銘柄の人気(価格形成)にも大きな影響を与えます。

資産運用会社は、集まった資金でどのような物件で運用するのか、そしてその取得した物件から多くの収益があがるよう、借主の募集、修繕、借入金の調達を行う等、の業務を行います。

私が保有しているアクティビア・プロパティーズ投資法人では、資産運用会社が東急不動産リート・マネジメント株式会社になっており、当該会社の株主は100%東急不動産株式会社です。

つまり、東急不動産の100%子会社が資産運用会社です。そして親会社の東急不動産株式会社がアクティビア・プロパティーズ投資法人のスポンサーとなります。

もう少しつっこんでいえば、資産運用会社(ここでは、東急不動産リート・マネジメント株式会社)は、投資物件をスポンサー(東急不動産株式会社)から買うのが一般的であるようです。

よって、この資産運用会社がスポンサーからいくらの価格で購入するのかもREITの成否を決める大きなポイントとなるようです。

スポンサーの側にたって、スポンサーの有利な価格で購入するなら、高値でつかむことになり、そのREITの運用利回りは低いものになってしまいます。

一方、スポンサーが適正な価格で売却すると、そのREITも適正な運用利回りで運用出来る基礎が作れることになります。(参考サイトは、こちら

なお、スポンサーが運用をサポートする側だけでなく、REITの投資法人に投資主の一つとして出資している場合があるようです。

もしスポンサーが大口投資主として出資しているのであれば、投資法人の収益利回りをあげないと、スポンサーが出した出資金に対する分配金も減少してしまいます。

このように、スポンサーが大口投資主として入ることで、全体にバランスのとれた適正な運用が出来ると言えましょう。

ちなみに私の保有しているアクティビア・プロパティーズ投資法人は、全体の9.3%分、東急不動産株式会社が投資口を保有しています。よって、スポンサーとREITの利害が一致していると言えましょう。よかったです。

このように、スポンサーの役割は、リート(投資法人)にとって、大きな存在であるゆえ、金融機関が資金を貸す場合も、スポンサーによって、資金調達コストも変わってくるようです。

現在ブランド力もあるスポンサーは、三井不動産、三菱地所でしょう。ただし、スポンサーの役割は大きくても、各投資法人の善し悪しは、当然、運用している不動産の収益性によって決まります。

よってスポンサーだけで、各REITの善し悪しがすべて決まるわけではありません。念のため。

 

以上、J-REITについて、私がセミナー参加前に、特に勉強した点をまとめてみました。また先日のセミナーに参加して、REITについてさらなる新たなる知識・考え方も得ることが出来ました。

いずれ機会あるときにJ-REITについて、もう少し触れてみたいと思いますが、今日はこのあたりで失礼します。

(編集後記)

アクティビア・プロパティーズ投資法人の所有している投資物件の中に、心斎橋にあるキュープラザ心斎橋(昔ソニータワーと言われていたビル)やあまがさきキューズモールがありました。

これらの物件の本当に小さいながらもオーナーであると考えると、楽しく思えますね。

The following two tabs change content below.
今西 学

今西 学

大阪の大東市(最寄駅:JR学研都市線の住道駅)で税理士事務所を開業中。(ホームページはこちら) このブログでは、税金・年金・お金の運用など日々の業務で気づいたことや、幼少の頃身体が弱かったことから常に健康で生きていきたいという思いで日々取りくんでいること等を記事にしています。 詳しくはこちら